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このブログ内のアトピー・アレルギーに関する記事はfukutomoの経験&主治医との相談を記録、整理したものです。医療判断・治療方針については必ずかかりつけ医と相談してください。 fukutomoってどんなひと?

退院後、母乳100%が乳アレルギーを悪化させた?帝王切開だった私が “あの時伝えてほしかったこと”

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こんにちは、fukutomoです。この記事を開いてくれたあなたは、きっと、これから赤ちゃんを迎えるお母さん。もしかしたら「帝王切開に決まったんだけど、ちょっと不安で…」という気持ちを抱えているところかもしれません。

まずは、ご懐妊おめでとうございます!何人目のお子さんであっても、出産前はやっぱりドキドキしますよね。入院グッズを準備したり、新生児のお洋服を並べてみたりして、「いよいよかぁ」なんて思っている頃でしょうか。

そして無事に出産が終わってホッとする間もなく始まるのが ー そう、『 授乳 』ですよね。

授乳、どうする?どうしたい?

母乳は出るかな?家族みんなでお世話できるから、ミルクもいいかも?やっぱり初乳は免疫のためにも大事って聞くしやっぱり母乳かな?でも復職もあるし、ミルクの方が助かるかも…

こんふうに、母乳・混合・ミルクそれぞれの選択肢に「良さ」と「悩みどころ」があって、正直どれが正解かなんて分かりませんよね。特に初めてのお子さんが生まれるという方は買いそろえるものも変わってくるし、こんな方針で行くぞ!と決めたとしても思い通りにいくとは限らないし。

でもね、私はどれを選んでも、ちゃんと正解だと思っています。

授乳って1日8回、10回、それ以上あることも。夜中だろうが、こっちが風邪をひいてようが、赤ちゃんは待ってくれません。だからこそ自分が納得して、家族も安心して過ごせる方法を選ぶことが、いちばんの正解じゃないかと私は思っています。

「完全母乳!」と決めて走ったfukutomoの話

私は1人目のとき、初乳の大切さや母乳のメリットを聞いて、「絶対母乳で育てる!」と決意しました。でも私、がっつり陥没乳首なんです。笑。

それでも、涙なしでは語れないくらいような苦労を幾度となく乗り越えて2人とも完全母乳で育てきりました。この話はまた別記事で。正直めちゃくちゃ大変だった。大変だけど自分で納得して選んだ道だったから、それ以上に大満足でもありました。

とはいえ、そんな意固地になってつらい思いするくらいなら途中で変えちゃっても全然いいなよなと今は思うんです。大事なのは「赤ちゃんかわいい」「今日も一緒に過ごせてうれしい」っていう穏やかでしあわせな気持ちで日々を過ごすこと。ところが当時の私はプロフィールにも書いたようにポンコツ振り切れ母。とにかく母乳で育てることだけが正解だと信じて、根性だけで乗り切ろうときっと鬼の形相していたんですけどね。

どんな選択も大正解なんだけど、穏やかな育児のために最初の3日間だけは、ぜひ知っておいてほしいことがあるんです。この3日間で誤った選択をしちゃうと、その後何年も大変な思いをするかもしれません。そしてそれは一生続く可能性だってあるんです。

1. 結論:生後3日は母乳がベストアンサー!!

医学的な事情がない限り、生後すぐの3日間だけはできればミルクを避けてほしい。これが今、世界中の小児科・アレルギー学会でも推奨されている知見です。

「え?でも母乳出ないけど?赤ちゃんお腹空いて泣いちゃうよ?」ってなりますよね。うん、その不安な気持ち分かります。私もそうでした。

でも大丈夫。正産期で生まれてくる赤ちゃんは、お母さんの母乳が出るまで待てるようにちゃーんと3日分のお弁当を持って産まれてくるんですって。すごいですよね!!

実際、私が1人目を出産した産院も母乳推進だったので「出るまでがんばろう!!」と手厚くサポートしてくれて、脱水や低血糖の心配があるときはミルクではなく糖水で対応してくれました。出ないなりに吸わせたり絞ったりしているうちに、じわっとにじむように初乳が出始める。その成分こそが、赤ちゃんの免疫や腸内環境の土台をつくる、とっても大切なものなんです。

その後の研究で分かったもっと大きなメリット

2019年日本で発表された論文。生後3日間にCMF(牛乳由来のミルク)を足さない群は、出生直後からCMF(牛乳由来のミルク)を足した群よりも、牛乳アレルギーや感作(アレルギー反応の準備状態)になりにくかったという結果が示され、2歳時点のアレルギー発生率も有意に低いことが示された。JAMA Network

さらに生後3日以内のCMF牛乳由来のミルク)補足を避けた子どもは、喘息や反復性の喘鳴のリスクが下がる可能性も示された。PMC+1

ヨーロッパの専門学会(EAACI)ガイドラインも、母乳で育てる赤ちゃんに生後1週目の「普通のCMF牛乳由来のミルク)を補足」するのは避けることを提案している。EAACI+1

私がこの論文を読んで1番驚いたのは、出生直後に牛乳由来のミルクを避けただけで、その後の牛乳アレルギーや即時型反応、アナフィラキシーまでこんなに差がでるんだ!!ということでした。

例えば2歳までに牛乳アレルギーを発症したのは「補足を避けた群」で0.7%だったのに対し「出生直後から補足した群」では6.6%  なんと、約10倍の差です。

さらに、アナフィラキシーや喘息リスクも下がる可能性があると示唆されました。

【論文の詳細まとめ&解説したリンクはる(もっと詳しく知りたい方はこちら)】

この事実、私はもっと早く知りたかった…1人目の出産時は、先ほども書いたように母乳推進の産院のためミルクは与えず、出なくてもひたすら授乳をしたので自然とミルクに接する機会なく過ごすことになりました。でも、2人目は帝王切開での出産だったため手術当日と翌日は体が麻酔で思うように動かずナースステーションで預かってもらうことに。このとき、看護師さんが「赤ちゃんずっと泣いてるからミルクあげちゃってもいいかな?」と聞きに来たのですが、何も知らなかった私は「はい、お願いします。」って言っちゃったんですよね。

もしこの時、この論文のことを知っていたら授乳は自分でしたいので赤ちゃん連れてきてもらえますか?とか明日からは授乳できると思うので今日は糖水で対応してもらってもいいですか?と言っていたと思います。2人目を産んだ産院も母乳推進を掲げていたはずですが、帝王切開の方も多くNICUなんかもある病院だったので生後すぐのミルクが割と当たり前だったのかもしれません。

看護師さんがもし、このような見解があることを知っていたのであればこういうリスクもありますよ…と説明と選択肢が欲しかったなと思います。実際fukutomoの2人目の子は乳アレルギーを発症しているので、これから赤ちゃんを産むお母さんには同じような悔しい思いをしないためにぜひとも知っていてほしい知識です。

医学的に必要がないなら、生後すぐ(とくに最初の3日間)は「ミルクを足さない」ほうがよさそう!!

2. 生後すぐミルクをあげたとしても、やり方次第で大丈夫!

2021年に同じく日本で発表された論文。いったんCMF(牛乳由来のミルク)を導入した場合、生後1〜2か月のあいだに毎日(少量でも)継続して飲むことで、牛乳アレルギーの発症を予防できる可能性があるというRCT(ランダム化試験)(母乳育児と両立可/1日10mL以上が目安)。PubMed+1

その一方で、ときどき飲むだけの“断続的な曝露”はリスクを上げる可能性を指摘する論文も。導入するなら“毎日つづける”がコツのよう。PubMed+

はい、ここでもうひとつ大事な論文があります。こちらは先ほどとは逆のアプローチから牛乳アレルギー予防について検討しています。

ポイントは「毎日継続して飲む」こと。たとえば1日10ml程度でもOK。いったん導入したなら、継続することがカギになるんですね。ただしその一方で、ときどき飲むだけの断続的な接触は、むしろアレルギー発症のリスクを上げる可能性があるとも指摘されています。

そしてこの2021年の論文は、出生直後数日から1か月未満の授乳に関しては「必要に応じてミルク補足可」としており運用がじつに緩やか。そこの期間は論点としておらず、生後1か月を過ぎてから2か月未満のミルクの補足による影響を研究しているようです。つまり、現実として出生直後から完全母乳のみの状況をすべての赤ちゃんで保つのは医療的・実践的に難しいことも多いかもしれないが、その場合でも生後1か月頃から毎日一定量のミルクを継続摂取することで乳アレルギーの発症が予防できる可能性が示唆されているのです。

生後1か月からの一定量のミルクを継続して補足することは乳アレルギーの発症を予防する可能性がある

fukotomo、この研究を知ったときズーン…とへこみました。だって2人目いもちゃんのとき、生後1.5日のミルクだけで、そこからずーっと完全母乳だったんです。帝王切開の術後動けるようになってすぐ、ボロボロの体をひきずりながらも我が子のため!!と思ってせっせと授乳していました。それが乳アレルギーの発症リスクを上げるとも知らず…そんだけボロボロでも頑張るなら本当に最初の1.5日も頑張りたかったよーってのがまぁ1番の本音。

そしてミルク飲んでる赤ちゃんのお母さんには、この情報って絶対伝えてほしいと思うんだよね。だって知らなかったら母乳出るようになってミルクやめちゃうかもしれないじゃん。知ってたらアレルギー予防のために1日1回はミルク続けようかなってなるかもしれない。先生や看護師さんがもし知っていたのなら本当に教えてほしかったなぁと思う情報です。1日たった1回の授乳をミルクに置き換える。それだけで未来は変わっていたかもしれないんですもの。

「がんばって完全母乳にしたのに、それが逆にリスクだったの…?」と知ったときは正直、泣きたいような、脱力したような、でもしょうがないや…みたいな感情でした。とはいえ、この情報を知った時点でいもちゃんはもう幼児。さかのぼってやり直すことはできないけど、それでも今、この知識を伝えることでこれからのお母さんたちが後悔しない選択をできるなら、私たちの経験も意味があるって思えたんです。

だからこそ、これだけ覚えておいて!

ミルクでも母乳でも、混合でも育て方に”正解”はありません。でも、アレルギー予防という観点でいえば2つのポイントはぜひ知っていてほしいなぁと思います。

生後3日間は、できればミルクを避けるほうがよさそう

もし早期にミルクを使ったら、生後1か月から1日1回(10ml以上)は継続するのがよさそう


もちろん、赤ちゃんの体調・家族の事情・病院の方針で最適解は変わってくると思います。最終的な方針は必ず医師と相談し、自身が納得して安心して進めていける方法を選んでいってくださいね。

過去の私に言ってあげたい言葉。大切なのは、「こうすべき」という理想にとらわれすぎないこと。ちゃんと知識を得て、自分の考えや生活スタイルに合った形を納得して選ぶこと。

この記事が、「知っていたら違ったかもしれない…」という小さな後悔を、少しでも減らせるお手伝いになればとてもうれしいと思います。

※この記事は私自身の経験と、信頼性のある論文・ガイドラインをもとにまとめたものです。医学的アドバイスではありませんので、最終的な方針は必ず医師にご相談ください。


参考文献

  • Urashima M, et al. Primary Prevention of Cow’s Milk Sensitization and Food Allergy by Avoiding Supplementation With Cow’s Milk Formula at Birth. JAMA Pediatrics (2019). 生後3日を含む新生児早期のCMF補足回避で感作/アレルギーが少ない。JAMA Network
  • Tachimoto H, et al. Effect of Avoiding Cow’s Milk Formula at Birth on Prevention of Asthma or Recurrent Wheeze. JAMA Network Open (2020). 生後3日以内の回避で喘息・喘鳴リスク低下の可能性。PMC+1
  • Sakihara T, et al. Randomized trial of early infant formula introduction to prevent cow’s milk allergy. JACI (2021). 1〜2か月に毎日≥10mLのCMF継続でCMA予防。PubMed+1
  • EAACI Guideline (2020/2021 update). 母乳児の生後1週目は通常CMFの補足を避けることを提案。EAACI+1
  • Lachover-Roth I, et al. Early, continuing exposure to CMF and CMA. Ann Allergy Asthma Immunol (2023). 断続的な曝露はリスク↑、継続が重要PubMed
  • 日本小児アレルギー学会 食物アレルギー診療ガイドライン2021(ダイジェスト):リスク因子と予防。jspaci.jp

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